以前、東京都知事の小池百合子がツイッターで報告し話題を集め、様々なメディアが取り上げたことから今や日本でもその名を轟かすことになった正体不明の覆面アーティスト Banksy(バンクシー)。
神出鬼没に姿を現し、グラフィティを“ボム”する彼の新作がイングランドの旧刑務所の壁で発見されました。

発見されるや否やSNS上で話題となりましたが、この度彼の公式インスタグラムで本人による作品ということが判明。

投稿された映像は、1983年〜94年にかけてアメリカで放送されていた画家 Bob Ross(ボブ・ロス)が油絵の描き方を紹介する人気テレビ番組「The Joy of Painting(邦題:ボブの絵画教室)」のオマージュになっています。

元ネタの「The Joy of Painting(邦題:ボブの絵画教室)」

出典:YouTube

旧刑務所の取り壊しを巡る問題とLGBTQ

今回見つかった壁のある旧刑務所は、1895年から1897年までアイルランド出身の詩人 Oscar Wilde(オスカー・ワイルド)が当時犯罪とされた同性愛行為の罪で投獄されたことで知られる刑務所。またそのことからLGBTQの聖地としても知られています。

旧刑務所が舞台となったオスカー・ワイルドの物語

出典:オスカー・ワイルド – 作品 – Yahoo!映画

壁画にはオスカー・ワイルドとおぼしき囚人がベッドシーツで作ったロープで脱獄する様子が描かれていています。ロープの下はタイプライターになっていて、実はそのロープはタイプライターから出る紙でできていたという内容。

出典:Banksy

この旧刑務所はもう使われていないことから宅地開発のため売却される話があったのですが、芸術の中心地として活用すべきだという近隣住民の抗議があり、旧刑務所の保存を求めるキャンペーンが盛んに行われていて、ハリウッド俳優など複数の著名人がこのキャンペーンを支持していました。

今回の作品は、そんな取り壊しに対しての抗議の意味合いとオスカー・ワイルドやLGBTQへの敬意込めたものと推測されますね。